霊能・霊視のトリック〜コールドリーディング
「水子の霊障がある。」
「先祖の悪因縁がある」
「自縛霊に祟られている」
「前世からのカルマが悪影響を及ぼしている」
自称「霊能者」や悪質「スピリチュアルカウンセラー」などに「たたり」があるとか「霊障」があるなどと脅迫されてしまい、多額の金銭を脅し取られてしまうケースが後を絶ちません。
なぜ、こんなデタラメが本当の事のように感じてしまうのでしょう?
その理由のひとつに理由のひとつに、「霊能者」から指摘された事が「的中している」と感じてしまうことがあるようです。
自分の性格やプライベート出来事のことを知っている・・・今日はじめてあった人なのに・・・この人には本当にパワーのある霊能力があるのではないか?
だからこそ「霊障」とか「因縁」とか、なにか怖い事を言われてしまうと、それが本当の事に思えてしまう・・・霊能者が語っていることが実際にこれから起こることのように思えてしまう・・・
実際には、人の心が読めたり、未来におこることを正確に予言できたりする人間などいません。
彼らが行う「霊視」やら、「リーディング」には当然タネも仕掛もあります。
これから、自称「霊能者」がよく使う「霊視」のテクニックを解説していきます。
もうこれ以上脅されて騙される人がでてこないように。
「霊視」(リーディング)の手順
@親身になって話を聴く
霊能者に霊視を頼んだり、占い師に相談にいくような方はたいてい深刻な悩み事を持っています。
・家族や自分自身の病気についての悩み
・恋愛や結婚についての悩み
・進学や就職についての悩み
・事業についての悩み
相談者の悩みごとの中には、人にはなかなか言えないことだったり、相談しにくい内容のこともあるとは思いますが、霊能者は相手の話を否定せず、非常に親身になって話を聴いてくれます。
自分自身の感情をしっかりと肯定してもらえる事は家族や友人との付き合いの中ではなかなか経験できることではありません。
「話を聴いてもらえた」という体験はなかなかの感動体験となり、どうしても霊能者に対して信頼感や親愛感をもちはじめてしまいます。
信頼感のある人の話を聞いていると、その人の話に多少無理があったとしても話を肯定したくなるものです。
話の中で欠けていたり、足りなかったりする部分を自分自身が無意識のうちに補っていく心理が働いてしまいます。
A「必ず願い事がかなう」ことを請け負う。
受験に悩む人に対しては「合格できます」と言い
結婚したい人には「結婚できる」と言い
病気で苦しんでいる人には、病気が治ることを請け負います。
このように自分の願望が叶えられることをしっかりと保証してもらえることは非常に嬉しいことです。
霊視が当たるということは「自分の願望が叶う」ということですから、霊視が当たるように無意識のうちに霊能者に協力しはじめてしまうのです。
自分から個人情報を伝えてしまったり、霊能者のリーディングのミスさえフォローしてしまったり・・・
この段階で、相談者の心理は霊能者に対してかなり依存的になってきます。
B誰でも当たる占いをして、リアリティを積み上げる。
根拠もなくカマをかけたり、あてずっぽうものを言い、リーディングしたとしても、「的中する可能性が高い予言」というものがあります。
例をあげると・・・
たとえば、「明日に大きな地震がくる」という予言は当たる可能性は低いです。
でも「いつか大きな地震が来る」という予言がほぼ100%当たります。
(「いつ」という期間と「どれくらい」の大きさか、「どこで」起こるのかが明言されていないからです。
世界中どこでも、一年を通して地震は起きていますし、これからも起こる確率はあります。)
人の性格についてはどうでしょう?
まず間違いなく当たる占いとして例をあげると
あなたは優しい
これはほぼ100%あたる占いでしょう。
(誰に対しても優しくない人間を探すことは難しい)
実際の「リーディング」でも、「当たる確率の高い」できごとがらから、順に話していくのです。
順番として、相談者の性格について話をすすめるケースが多いようです。
具体的に説明します。
性格を占う
@対極的な性格の傾向について同時に述べる。
人の性格は一枚板ではありません。対極的な性格を同時に持っていることは普通のことです。
「思いやりのある人」でも時と場合によっては「利己的」ことを考えていたり、おとなしい人でも時には思いっきりはしゃいでみたくなることはあるでしょう。
これはあたりまえのことなのですが、対極的な二つの性格(あるいは葛藤)を同時に伝えるとかなりの確率でターゲットに「当たった」と感じさせることが可能となります。
例1
「あなたはとても他人に奉仕することができる人で、困った人を見捨ててはおけないのですが、ときとして情に流されず冷静な判断をして、人を裁断することもできる人です。
「あなたは情に流されず冷静な判断をして人を裁断できる人ですが、ときとして困った人を見捨てておけないこともあります」でもOK。
例2
あなたはとてもおとなしくて、多くの場面で何かを人に譲ってしまうことが多いのですが、ある状況下では率先して動き、ムードメーカーとして活躍することもあるようです。
対極的な性格や行動パターンを述べるだけで、かなり高い確率でターゲットに「当たった!」と感じさせることができるのです。
A誰もが体験する典型的な人生の問題について述べる。
自分自身の悩みって「こんなことを考えているのは自分だけだ」と思いがちですが、そんなことはありません。
たとえば、あなたが30代の専業主婦だとすれば、あなたが悩んでいる事は同じ世代の専業主婦が同じように悩んでいることが多いのです。
30代の子育て中の専業主婦なら
あなたはお子さんに日々愛情を注ぎ、同時にご主人を支え頑張っておられるのですね。 でも、あなたの頑張りはどうもご主人には伝わらないようです。時々、バリバリと仕事をしている自分を想像して、なんとなく寂しさを感じてしまうこともあるようです。
40代の会社員なら
あなたは今の職場において、堅実に業務をこなしています。その反面、若いころの理想や夢、目標などを忘れてしまっている自分を感じる時があります。堅実なあなたですが、反面平和な生活を刷新して、若いころの希望や夢を追いかけてみよう、と感じることがあります。
誰しもが経験する出来事について述べる
多くの人たちが経験するであろう出来事についてカマをかけていきます。実際、人が経験するできごとや体験にはおおむね共通点があるのです。
*例1
・あなたは自分に対して厳しすぎるところがある。
・経済的な問題を抱えていますね。しかし対処できないほど大きなものではありません。
・あなたのこれまでの人生は、もらうものより与えるもののほうが多かったですね
霊感商法の場合は下のようなことを言われるようです。
・井戸が近所にある
(昔は水道などなかったのだから、人が住む場所なら井戸の跡はどこにでもある。)
・動物の墓がある
(子供の頃に金魚やハムスターのお墓を作った経験は誰にでもある)
・水子の霊が近くにいる(非常に多い)
(自分自身には経験はなくとも、親や親戚、近所の人、などを丹念にさぐれば当たる可能性は高い。
どうしても見つからなければ、ご先祖にいたはずだと言えばいい。もしも自分自身に経験があれば非常に大きな衝撃となる)
イエスとノー、どちらの返答でも可能な問いかけをする。
イエスと返答されても、ノーと返答されても、うまく取り繕うことができる質問をしていきます。
たとえば
「あなたは離婚するつもりですね」
と聞けば、当たるかどうかは確率の問題です。
しかし
「あなた、離婚はしないよねえ?」
と聞けば、これは当たるリーディングとなります。
なぜなら、ターゲットの答えが「イエス」でも「ノー」でも、それらしく応答することができるからです。
イエスなら・・・
「やっぱりねえ、いろいろなことがあっても家庭は維持していきたいですものねえ」
ノーなら
「やっぱりねえ、もうキッパリとけじめをつける時期ですからねえ」
ターゲットの返事に対してよどみなく応答されると、「自分の心の中を読まれた」と錯覚を起こしてしまいます。
こうした語法を使えばたとえハッタリをかましたとしても、相談者に大きなインパクトを与えることができるようになります。
イエスでもノーでも応答できる問いかけには下のような例もあります。
*例2
・ではありませんよね
・人からは〜といわれませんか
・〜というのは気のせいかなあ
こうした語法を使えばたとえハッタリをかましたとしても、相談者に大きなインパクトを与えることができるようになります。
イエスでもノーでも、的中できるのですから。
この段階までくると、霊能者が何か強力なパワーを持っているような気になる人もいるようです。
初対面の人間に「まだ話していないことをリーディングされた」というのは大きな驚きとなlってしまいます。
また、霊能者はカマをかけて話をしているのですから、当然読みが外れる場面もあります。
しかし、人は当たらなかった事については忘れてしまいます。
「当たった」と感じたことのみ、記憶に残してしまうのです。
ターゲットを褒める。(霊能者との一体感を醸成する。)
リーディングにより力を誇示したところで、仕上げに入ります。
ターゲットの「秘められた能力」をほのめかしたり、「スジがいい」ことを褒めたりして、霊能者との一体感を作り出そうとするのです。
・非常にいい資質をお持ちのようです。精進を怠らなければ成功できます。
・あなたにも知られざる能力があるのかもしれませんね。
・あなたの心は善良で、人に対しては暖かく、愛に満ちた接し方をします。あなたへの占いが特にうまくいく理由は、あなた自身が強い直観を持っているからです。
特殊な能力を持っている(と感じる)人間に褒められればやはり嬉しいものです。
この段階までくると、霊能者に対しての依頼心がでてくるようになります。
ここで終わるのであれば、まだよいのです。
ここまでおだてて、持ち上げて、次に「脅し」に入ります。
信頼関係を作ったうえで脅しに入る
「霊能者」に対し一体感をもちはじめ、そのパワーを信じはじめてしまったところで脅しに入ります。
この段階に入ってしまうと、どんなにデタラメな事を言われても、それを冷静に判断することが難しくなってしまいます。
それまで、ターゲットはいろいろな個人の事情を話してしまっていることがあり、こうした情報からターゲットの罪悪感や不安を増幅させていくトークが展開されていきます。
そのうえで高額な商品を購入させたり、高額なセミナーに勧誘したり、脅迫行為が行われていきます。
「霊」とか「たたり」とか「霊障」とか
なにか怖いことを言われてしまつたら、まず一呼吸おいて、周囲の人に相談してみましょう。
目に見えない不思議な力が人に害を及ぼすなんてことは、ありえないことなのです。
例1、例2の事例は石井裕之氏の著作 「一瞬で信じ込ませる技術コールドリーディング 」フォレスト出版より引用させていただきました。