悪質なセミナーやコーチングによる被害について
若者を対象に「企業家育成セミナー」を謳いあげた悪質なセミナーやコーチングによる被害が多発しています。
問題のあるセミナーは具体的な起業の方法や経営知識を学ぶ講義とはほど遠く、空疎な精神論を教え込むことに特化していたり、「ゲーム」や「ワーク」などを通じて参加メンバーの感情を激しく揺さぶることにより判断力を低下させ、高額のセミナーを次々と受講させたりするのです。
また、「新しい自分を発見する」とか「競争社会で疲れた自分を癒してあげる」なとといった耳障りのいいフレーズでセミナーに勧誘し、、そのセミナーで心理療法を悪用しながら自我を揺さぶり判断力を低下させ高額のセミナーを何度も受講させたり、強制的に勧誘に従事させてく「自己啓発セミナー」による被害もまた増加してきています。
「人前で委縮して話ができない気弱な自分を変えたい」
「コンプレックスを抱えて卑屈になっている自分自身を変えたい」
「自分の殻を破つて飛躍したい。新しい自分と出会いたい」
誰にだって何かしらのコンプレックスはあるものですし、「自分自身を変えてみたい」と思ってみることも自然なことだと思います。
しかしながら、自己啓発セミナーに勧誘されることにより、数百万単位のお金を払ってしまったり、強引な勧誘活動に従事することによって、家族や友人との信頼関係を壊してしまったりすることによって、社会的な信用を失い、精神的にも疲弊してしまう事例があるのです。
自己啓発セミナー5つの注意すべきポイント
ポイント1 「偶然知り合った友人」を装って勧誘する
自己啓発セミナーの勧誘者は、まず「友人」を装って接近してきます。
SNSや大学のサークルで勧誘されるケースが多いようです。
最初のうちはセミナーの勧誘であることを告げません。
「友人」として個人情報や「人として抱えている悩み」などを情報収集し、こちらが心を開いたところで勧誘に入ります。
「今のままの自分でいいの?」
勧誘者は友人のふりをしてあなたのコンプレックスや不安を聞き出し、把握しています。
そうであるが故に、「不安」や「コンプレックス」を上手に刺激し揺さぶることができるのです。
「今よりも高い自分をめざしていこうよ!」
おかしいな、変だなと思ってみても、キッパリと断ることは難しいことです。
「自分の事を心配してくれる『友人』の薦めることを断るのは申し訳ない」という心理が通常なら働く判断力を麻痺させてしまっているからです。
ポイント2
セミナーのカリキュラムや「どれくらいお金がかかるか」の説明がない
自己啓発セミナーに参加するにあたり、参加する前にセミナーのカリキュラムを教えてくれないケースも多いようです。
「事前にカリキュラムを知ってしまうと効果が薄れるから」と言い訳されて、結局教えてくれないのです。
それもそのはず、いわゆる悪質な自己開発セミナーの場合、激しく感情を揺さぶったり、激しい罵声を浴びせるなどして意図的に参加者をトランス状態に追い込むことにより、セミナーに依存させていくカリキュラムが組み込まれており、事前にカリキュラムの内容を知ってしまえば、参加を躊躇する人が多数でてくる可能性があるからです。
また、セミナーにかかる総額費用を明らかにしないケースも多数あります。
一番最初に受けるセミナーは比較的少額の費用で済むようですが、2回目、3回目とセミナーが進むにつれ、参加費用はどんどんかさむようになり、数十万から数百万にものぼる金額を参加費用として支払ってしまうケースもあります。
最初に一番安いセミナーに勧誘し安心させるのですが、それに続く2回目、3回目の高額なセミナーの費用は明らかにされず、ハマってしまってからなし崩し的に勧誘され、大きな金銭被害を生んでしまうのです。
ポイント3 参加メンバーの中にサクラを混ぜておく
セミナーの参加者の中にあらかじめサクラをまぜておきます。
彼らはセミナーの受講中、はじめて参加するメンバーを観察し、個人的な情報を収集します。
また、セミナー終了後、セミナーの勧誘に従事させたり、高額のセミナーを繰り返して受講させるときに扇動役を果たしたりします。
なお、サクラやセミナーの進行を補助するスタッフは「ボランティア」などと称し、無償で働かされていることがほとんどです。
ポイント4
感情を激しく揺さぶり、平常心と判断力をを失わせるカリキュラムがある。
セミナーは照明を調整され、バックミュージックを効果的に使いながら参加メンバーの平常心を失わせ、通常働いている判断力を麻痺させるカリキュラムが組まれています。
一部ですがいくつか例をご紹介します。
「ダイアード」
二人一組でひざとひざが触れ合う距離で座り、「今困っていること」「セミナーに来た理由」「セミナーに何をかけて参加するか」を語り合う。
「赤黒ゲーム」
今までの人生で「勝ち」「負け」にこだわるあまりに、悲惨な人間関係を作ってきたのではないか、と知らしめるゲーム
「想像瞑想」
感傷的な音楽が流れる真っ暗にした部屋で、自分の両親が誕生し、夫婦として出会い、自分が生まれ、そして死んでいく様子をイメージする。
「選択の実習」
フォークダンスのように二重の円を作り、向かい合った相手と無言で指のサインを出す。指本が「顔をそむける」指2本で「見つめるだけ」指3本で「握手」指4本で「抱擁」するという意味。
暗闇の中で、「あした地球が滅亡するとしたら、その人とどうしたいのか?」などとナレーションがあり、多くの人たちが「4」のサインを出し抱擁する。
「ライフボート」
数人のクループで行うワーク。全員で沈没する船に乗っていることをイメージし、その中で1そうしかない救命用ボートにひとりだけ誰をのせるかをグループ内で投票する。投票された人がボートに乗ると、残された人は遺言をボートに向かって
語りかける。
その他
・吊り下げられたサンドバッグに向かって、全力でタックルを繰り返す。
・「鎮圧された感情を解放する」と称して、号泣させられる。
ポイント5
判断力を失くしたところで、次のセミナーへ勧誘される。
セミナーも終盤にさしかかると、体力的にもヘトヘトの状態に追い込まれてしまいます。
しかも各種のカリキュラムによって、感情は激しくアップダウンを繰り返し、慎重にものごとを考えたり、批判的に判断する能力が低下した状態で、次のセミナーに参加することを約束させられます。
あらかじめ混ざっていたサクラが扇動役を務めます。
一番最初のセミナーでは数万円だったものも、二回目以降のセミナーは数十万の値段がするものもあり、複数回セミナーを受講することで、被害総額が数百万に及ぶこともあるのです。
参加費用が高額なため、迷っている参加者にはこんなトークが使われるようです。
「あなたはお金にふりまわされる人生を送ってしまっています。このままでいいのですか?」
「大きな成功を収めるためには自分自身に投資するのはあたりまえです。何をあなたはためらっているのですか?」
また、「カリスマリーダーの講義を特別に受講できる」といったトークが使われたり、「あなたには特別な素質がある」などとおだてられるケースもあります。
学生など手持ちのお金がない人には学生ローンを薦める事例さえあるのです。
おかしいな?と思ったら
まず恥ずかしがらずに、身近な人に相談してみることです。
学生さんならご両親でもよいですし、自分が通っている大学の学生相談室も相談に乗ってくれるでしょう。
また消費生活センターなども相談に乗ってくれるでしょう。
「おかしいな?」と思ったところで、誰かに相談できるかどうかが被害に遭うか、被害を回避できるかの分かれ目です。
第三者の意見をしっかりと聞いてみましょう。
心の相談室 りんどうは霊感・霊視商法の被害に苦しんでおられる方への相談を受け付けています。
よろしければ、ご利用ください。
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参考文献
「カルトからの脱会と回復のための手引き」 日本脱カルト協会
「日本脱カルト研究会報 第8号 特集 自己啓発セミナー」
日本脱カルト研究会 (現日本脱カルト協会)
脱カルト協会 ツイッター
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